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令和3年度 前期終業式校長講話

こんにちは!
令和3年9月28日火曜日、前期終業式の講話を始めます。

今日で4月から始まった前期が終了します。一つの節目を迎えました。
この期間、いろいろなことがありましたね。「有難う!」を込めてこれまでの6か月間を振り返り、「有難う」についてお話しします。

◎4月、この新校舎で2・3年生と先生だけでの開校式、そして着任式・始業式、次の日は、入学式が行われ、201名の新入生が新しい制服で、不安と期待を胸に式に臨みました。
そして、4月20日から三泊四日で3年生が2年生の時には行けなかった修学旅行に行くことができました。参加した生徒たちは長崎で良き思い出ができたようです。

◎5月は、新型コロナ感染症への対策である「まん延防止等特別措置」の期間が、当初は5月9日~15日まででしたが、なかなか新規感染者数が減少せず、そのまま引き続き5月16日~6月20日まで「緊急事態宣言」が出されました。
その期間、学校は短縮授業とし、オンライン(ZOOM)による授業と対面授業を選択できるよう対応しました。しかし、春季の部活動大会の多くが中止となってしまいました。

◎そして6月、前期中間考査は当初9日からでしたが、23日からに延期し、何とか実施することができました。6月25日に予定していた遠足も延期することになってしまい、先生たちとは10月中に実施できれば・・・と話しています。

◎7月、学校祭も予定通りには実施することができませんでした。2・3年生にとっては、昨年度も実施できず、2年連続となってしまいました。
また、暑い中でしたが、薬物乱用防止教室は学年を分けて何とか実施することができました。

◎そして、そのような中、オリンピックが開催されました。コロナ禍の中での開催には、いろいろな意見がありましたが、始まると、日本は若い人たちの活躍もあり58個のメダルを獲得、しかし、メダル獲得の有無にかかわらず、各国の選手たちが闘う姿や闘ったあとの一人一人の笑顔や汗や涙に、これまでの努力を想像し、感動した場面も数多くありました。

◎8月から9月にかけて行われたパラリンピックでも多くの日本人が活躍しました。障害があっても人として生きることは同じで、みんながお互いに尊厳を持って接し、受け入れることが、多様性を認めるということに繋がるということを再認識しました。

◎さらに、夏休みが終わってもなお、暑さは厳しく、北海道らしからぬ日が続きました。そして、また緊急事態宣言が8月2日~26日まで出されました。北海道としては3度目の宣言でしたが、これもまた一か月も延長され、9月30日までとなってしまい、今に至っています。

◎その間、さまざまな制約のある中、皆さんは日々の学校での活動に、精一杯、取り組んでくれました。私は皆さんの所作・行動や活動を見ていて誇りに思えるような嬉しさを何度も味わいました。「本当に有難う!」

また、皆さんの中には「悔しい」の一言で済まされないような出来事も、自分の高校生活はどうなるのだろう?と不安に思ったことも、今、活動していることの意味が分からなくなったりしたことも、また、自分一人では思うようにならないこともいっぱい経験したことと思います。

そのような思いを抱く皆さんを含め、全校生徒の皆さんに私は、「感謝」とか「笑顔」を忘れずに!とお話しし、「有難う!」の言葉を皆さんから周りへ伝えて欲しいとも言い続けてきました。
そこで、今のような時だからこそ、「有難う」の3つのレベル「初級」「中級」「上級」についてお話ししたいのです。「えっ有難う!には レベルがあるの?」と思った人もいると思います。実はあるのですね。

●一つ目は「何かあったら有難う!」です。
先日、3歳の孫へ梨の皮をむいてあげたら、ニコッと笑って「おばあちゃん、ありがと!」と言って食べてくれましたが、これが、人から何かしてもらった時の「有難う!」で、子どもでもできる初級レベルの「有難う」です。

●二つ目は「何もなくても有難う!」です。
特別なことがなくても、毎日、働いてくれている心臓などの臓器、自分のために動いてくれる口や耳や手足、美味しい空気、季節ごとに変わる周りの景色など、今まで当たり前と思っていたものに「有難う!」を言うことです。
私は毎朝、車に乗った時には、車に対して「待っていてくれて有難う!」と言います。「今日も安全運転しますから宜しくお願いします。」と、そして、無事に帰って車庫に入れた後も「今日も一日有難う!」と感謝します。車は機械なので、無機質で心が無いように思いますが、なんかわかってくれているような気がします。
これはしっかりと意識していないとできない「何もなくても有難う」なので、中級レベルの「有難う!」です。

●そして、三つ目の「有難う」は「何があっても有難う!」です。
不幸や人生のピンチなど、不遇なことや嫌なことがあっても、誰かや何かに感謝する「有難う!」です。これは容易なことではなく、なかなかできない「有難う」です。

これまで約2年間、新型コロナウイルス感染症の拡大には、世界中が翻弄させられていますが、この状況を考えると何か大きな力が働いていて、この地球を変えようとしているのではないかとさえ思えてきます。新型コロナウイルス流行のメッセージは何なのか、今はわかりませんが、そのお陰でよく変わったことやうまく進んだこと、進化している最中のことがいっぱいあります。

例えば、世界中に感染症予防のノウハウが広まり、ワクチンもできました。自粛生活だからこそ、おうち時間を見直し、家族関係を改めて考えるチャンスにもなりました。
また、飲食店では、テイクアウトの種類や様々な料理も開発されました。
働く場所は職場に固定されることもなく、通勤時の混雑に巻き込まれることもないテレワーク、在宅勤務が進みました。
また、学校においては、時差登校や授業短縮などが、違和感なく受け止められるようになりました。マスクの着用や手洗いの有効性をはじめ、三密を避ける行動を徹底することなどが経験知となり、つみ重ねられています。
また、本校では、先生方が勉強してくれたおかげで、オンライン授業と対面授業の併用ができるようになり、電子黒板が活躍しました。1年生に貸与しているアイパットも有効に働いてくれました。感染リスクを極力少なくしての部活動の練習もできるようになり、部活動や大会運営のありようも変化してきました。
新型コロナウイルスは、人の命を奪ったりするので悪者そのものなのですが、このように世の中を変える力もあるのです。
ですから、私はこの新型コロナウイルスに対しても「有難う!」を伝えたいと思います。
これは上級レベルの「有難う!」ですね。

さて、人生で悲しむ経験の一つに誰かが亡くなるということがあります。悲しくて切なくて、涙もいっぱい流れます。でも、その方が生きていらっしゃった時に、多くの出来事や言われた言葉を思い出すと、自然に「有難う!」が出て来ます。

『言葉の使い方ひとつで醜くなる言葉があるよ。濁点の付く言葉には気を付けなさい。』と教えてくれたのは、今は亡き私の祖母です。
【口(くち)は愚痴(ぐち)になる。意志(いし)は意地(いじ)になる。徳(とく)は毒(どく)になる。】
祖母の言葉を今でも時々思い出し、改めて「なるほど・・」と思うことがあります。
先日は同じような話をラジオで聞いて、久しぶりにこの言葉を思い出していました。
亡くなった人に対しても、感謝でお祈りするのが正しい祈り方だそうなので、私は祖母の遺影に毎日向かって、感謝の手を合わせます。そして、先日は、さまざまな言葉を教えてくれた祖母を真似て私も発見した言葉【エコはいいけれど、エゴになったらだめだよね!】と、祖母に報告しましたが、遺影は静かに笑っていました。

私は本当に多くの方々から「有難う」をいただいているので、何という幸せ者か・・・といつも思います。その話をしたら、ある方から『「有難うございます」と多くの人から言われている人は、間違いなくたくさんの「有難うございます」を言っている人ですよ。』と言われ、恐縮しながらも、またこの言葉の意味を有難く受け止めました。

「何かあったら有難う!」「何もなくても有難う!」「何があっても有難う!」
これからも初級・中級・上級の「有難う!」を言い続けたいと思います。

さて、あすから2日間の学期間休業、通称秋休みです。

緊急事態宣言が解除になったとしても、これからも感染症対策については気を緩めずに引き続き実行しましょう!
特に、自分が感染したら?とか、感染したらどうしたらよいのか・・など、これまでの経験を生かし、想像したり、事前の心構えを持ったりして行動しましょう。
一人一人がきちんと考え、家族の一人、集団の一人であるという自覚を持って行動していけば、必ずや新型コロナウイルスの収束の時は早まると思っています。

そして、この季節、朝晩の気温差が大きくなりますから、体調管理には十分に気を付けて過ごしましょう!

令和3年度 前期、本当に有難う!
10月1日、また、元気な笑顔で会いましょう!

これで、前期終業式の講話を終わります。