学校長ごあいさつ

北海道文教大学附属高等学校
学校長 宮路 真人
どの私学にも建学の理念、つまり学校を設立するにあたっての「熱き思い」があり、それに立脚した教育目標や教育方針があります。時代や社会の変遷とともに教育スタイルや到達目標は変化しますが、根本的な理念は時を超えて大切に受け継がれていきます。それが私学の良さです。
本校は、戦時下の1942年、「道民の食生活を改善したい」という熱い志を抱いた鶴岡新太郎・トシ夫妻により設立された「北海道女子栄養学校」をその起源としています。高等学校としての開学は1959年のこと。現在の札幌市南区藤野の地に根を下ろし、学園の発展とともにその名称を変えながら、また教育内容の拡充を図りながら、建学の志は「地域社会に貢献する人材の育成」という形で脈々と受け継がれてきました。学校の原点である食と健康へのこだわり、人間が健全に生きていくうえで最重要事項のひとつであるそれは、今も校内に息づいています。鶴岡夫妻の遺した学訓を凝縮した「清正進実」の四文字は本校の精神を象徴する言葉であり、本校の教育の底にはこの精神が常に流れています。「清」は真理を追究する姿勢を、「正」は正義感や誠実さ、倫理性を、「進」はチャレンジ精神をあらわし、最後の「実」は実学の重視を、さらには理屈だけではなく実践することの尊さを意味しており、これらは時代を超えて普遍的に大切にされるべき精神であると私は感じています。
世界は今、歴史的にもまれな変化の只中にあり、社会の形そのものが大きく変わろうとしています。グローバル化のいっそうの進展。情報通信技術の飛躍的発展。そしてAIの登場と進化により今まさに突きつけられている「人はこれから社会の中で何を担い、どのように生きていくのか」という問い。従来の価値観や「このように生きていけば一定の幸福にたどりつける」といった標準的人生モデルはもはや崩壊し、誰かに追従していけば何とかなった時代は終わりを迎えようとしています。玉石混交の膨大な情報が世界にあふれかえり、何を信じ、どう判断すればよいのか戸惑うことも多々あります。国境の壁は著しく低くなり、世界のさまざまな価値観を持った人々とともに生きていくことが求められています。今まさに、自分の生き様や価値基準を自分で見出さなければならない時代、一人称で、能動態で考えなければならない時代に突入しています。こうした時代を生きていくことは確かに大変なことかもしれません。しかし、考えようによっては、自分を無意識のうちに束縛していた社会の空気や固定観念から解放され、自分が本当に大切にしたいものを大切にできる、主体的に物事を選択できるチャンスが訪れていると考えることができるのです。
本校は2021年に現在の地(恵庭市)に移転し、校名も「北海道文教大学附属高等学校」へと改めました。「清正進実」の精神と、挨拶・礼儀を大切にし、社会に貢献できる人材となるうえで欠かせない学力の向上に力を入れる、かねてからの伝統は変わらず受け継がれ、今は新しい時代を生きるうえで必須な資質である「主体的に学び、考え、行動できる姿勢」を養うことに注力しています。隣接する北海道文教大学との高大接続もいよいよ進展しつつあり、さまざまな学びのチャンスがそこには存在しています。
本校最大の魅力は「人」です。礼儀正しく笑顔にあふれ、主体的に日々を送る生徒がたくさんいます。ひとりひとりと親身に向き合い、全力で支援する教職員がたくさんいます。
人、特に若い方々には「伸びしろ」がたくさんあり、私たちは強くそれを信じています。人は「好き」を発見すると信じられないくらい成長するものです。本校において「好き」を発見し、大いに成長し、それを未来へつなげていただきたいと願います。未来を切り拓くべく奮闘するみなさんを私たちは全力で応援します。
本校の教育
建学の精神
「清正進実」
学訓
「清く正しく雄々しく進め」
スクール・ミッション
- 1 自ら学び、知識・技術を活用することができる生徒の育成
- 2 礼儀正しく、人や物に感謝できる生徒の育成
- 3 夢への挑戦を諦めず、努力し続けることができる生徒の育成
- 4 心身たくましく、笑顔忘れずに行動できる生徒の育成
スクール・ポリシー
教育目標
- 1 明るい個性と豊かな知性に基づく創造力をもった人間の育成を図る。
- 2 清楚・高潔で慈愛に満ちた思いやりのある人間の育成を図る。
- 3 崇高な思想と強固な意志をもった人間の育成を図る。
- 4 心身ともに健康で奉仕と勤労を尊ぶ心をもった人間の育成を図る。
教育目標の実現のために
育成を図る資質・能力
- 1 学業と課外活動に励み、その経験を集団の中で活用する力
- 2 他者や自身の価値観を大切にし、協調の精神を育み深めようとする力
- 3 目標に対して常に前向きであり続け、夢について考え、その実現に向けて努力できる力
- 4 心身の健康の保持や向上に努め、地域や社会に貢献しようとする意欲
教育課程の編成及び実施に関する方針
- 1 1学年におけるベーシックでは基礎学力と学習習慣を定着させ、2学年からは多様なプログラムを設定し、希望する進路の実現を図る。
- 2 総合的な探究の時間を核として、課題の発見や、課題解決にあたる諸活動を通じて、SDGsや教科横断型の学びを推進する。
- 3 生徒会活動をはじめとする特別活動や部活動を大切にして、学力向上と人間形成をバランスよく育成する。
本校を志望して欲しい生徒像(入学者の受け入れに関する方針)
- 1 学習と課外活動の両立に努め、自ら成長しようとする姿勢をもつ生徒
- 2 明確で具体的な進路目標を考え抜こうとし、その実現に向けて主体的に取り組むことのできる生徒
- 3 素直さと謙虚さを備え、仲間を尊重し協働できる生徒
沿革の大要
昭和34年の開校から現在に至るまで、
本校の歩みを紹介します。
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昭和34年1月19日
学校法人鶴岡学園藤の沢高等学校として設立認可
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4月1日
江原玄治郎初代校長就任
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4月13日
第1回入学式挙行
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昭和36年12月16日
宮田新一第二代校長就任
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昭和37年3月7日
第1回卒業式挙行
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昭和40年4月1日
鶴岡トシ第三代校長就任
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昭和41年4月1日
北海道栄養短期大学附属高等学校と校名変更、食物科1学級設置
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昭和53年8月4日
高杉敏雄第四代校長就任
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昭和54年4月1日
伊藤 薫第五代校長就任
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昭和63年4月1日
札幌明清高等学校と校名変更
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平成元年4月1日
塚原春樹第六代校長就任
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平成4年4月1日
井上哲明第七代校長就任
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平成6年4月1日
塚原春樹第八代校長就任
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平成7年4月1日
遠藤俊一第九代校長就任
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平成11年4月1日
後藤 敬第十代校長就任
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平成12年4月1日
北海道文教大学明清高等学校と校名変更
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平成16年4月1日
中村 至第十一代校長就任
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平成24年4月1日
新校舎移転
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6月8日
鶴岡学園創立70周年記念式典挙行
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平成26年4月1日
能代 茂第十二代校長就任
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平成29年6月3日
鶴岡学園創立75周年記念式典挙行
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令和2年4月1日
佐々木淑子第十三代校長就任
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令和3年4月1日
北海道文教大学附属高等学校と校名変更
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4月1日
新校舎移転
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令和4年6月8日
鶴岡学園創立80周年記念式典挙行
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令和6年4月1日
宮路真人第十四代校長就任
校章

令和3年4月1日制定
校章の中心には、学問の象徴である万年筆が3本描かれ、こども園・高等学校・大学の連携した教育が、未来へ向かってそれぞれに伸びていく鶴岡学園の様子を表わしています。その間には、『北海道文教大学附属高等学校』のHokkaidoの「H」とBunkyoの「B」、そして、高等学校の「高」が配置されています。また、その様子を温かく見守る二羽の「鶴」は、鶴岡学園の創始者、鶴岡新太郎、トシ御夫妻を表現し、鶴が生き生きと飛翔する姿は、建学の精神「清正進実」(清く正しく実を学び雄々しく進め)を描写しています。
校章は商標登録済みです。
校歌
校名変更と校舎移転を機に、
これまでの歴史とこれまでの思いを込めた
校歌に生まれ変わりました。