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令和6年度冬季休業明け集会校長挨拶(骨子)

さて、お正月には初詣に行ったという人もいるかと思います。私は人混みがどうも苦手なので、北海道神宮のような混み合うところではなく、近所の小さな神社にお参りに行ってきました。神社にお参りするとついつい引いてしまうのがおみくじです。今回私の引いたおみくじは「末吉」。つまり吉の中の一番下。昨年が「大吉」だったこともあって、私は何とも微妙な気分で帰ってきました。
以前、新聞のコラムだったかネットに出ていたのだったか記憶が定かではありませんが、こんな話を読んだことがあります。
「おみくじを引いて『凶』が出ると、人はどうしても悲観しがちだ。しかし、『凶』はそうそう悪いものでもない。おみくじは予言ではなくて、いい一年を送るために鳴らされる警鐘、あるいはアドバイスのようなものだ。『凶』は、気をつけないとこういう悪いことが起きるよというお知らせである。だから気をつければそれは起きない。『凶』が出たとなれば人はおのずから気を張るだろう。注意のひとつもするだろう。だからむしろいいことなのだ。」
まあそういう話でした。では、逆に「大吉」はどうかというと、
「年始に『大吉』と出ればそれは嬉しいし、 気持ちよく一年をスタートすることができる。しかし、いいことなんてそうそうあるものでも続くものでもない。慢心したり、ただ受け身で期待をしていると、次々と裏切られ、喜んでいた分、悲しい思いもする。いいことが続くように一生懸命やるんだよというアドバイスなのだ。」
というのです。私の引いた「末吉」は頑張ればこれから徐々に運気が上がっていくという可能性を表しているのだそうです。
さだまさしさんが昔『飛梅』という曲を出しました。その中に「上りつめたらあとは下るしかないと気付かなかった」という歌詞が出てきます。逆に言えば、下りきったらあとは上るだけだということになります。 要は気の持ちようだということです。人は人とともに暮らしています。嬉しさ楽しさも、苦しさ悲しさも、人との関係で生まれることがほとんどです。本当に理不尽なこと、自分ではどうにもならないことは別として、それはそれで対処しなければなりませんが、苦しさ悲しさのある程度の部分は、他人が自分の思ったようにならない、こうあってほしいのにそうならないという、他人の反応や行動への失望や憤りから来るものと言われています。しかし、他人は他人。自分ではコントロールできません。他人を自分に合わせて変えることもできません。変えられるのは自分だけです。グローバル社会になって、自分の常識の範疇にない価値観や行動に触れる機会も多くなってきました。私たちは物の見方を変えてみることができる力を養わなければならないのだと思います。ぜひいろいろな方向から物事を見る、そういう心持ちを育ててみてください。それはとても難しいことですが、それができると心にゆとりが生まれるのではないでしょうか。

最後に、まもなく家庭学習に入る3年生に伝えておきたいことが二つあります。
一つ目は、すでに進路が確定した人も多いかと思いますが、家庭学習期間を大切にしてほしいということです。以前企業の人事担当者がこういうことを言っていました。
これはあくまでも大学卒業後の就職に関しての話でしたが、「総合型選抜や学校推薦型選抜などで早期に大学入学を決めた生徒と、一般受験で勉強を続けた生徒とでは、入学当初はたいして差がなくても、在学中にじわじわと差が開いてくる。それは知識量が違うためでもあるし、何より頑張って勉強を続けた分『頭の体力』が違うためでもある。二人の学生を面接して、仮に同じようなレベルだったら、一般受験での入学者の方を選択する。」と。「頭の体力」というのは非常に新鮮な言葉でした。突き詰めて(この場合は勉強に)取り組んだ経験は「頭の体力」につながると考えているということなのですね。
これはあくまでひとつの例として申し上げただけで、私は別に学校に通っているかのように勉強しろと言うつもりは全くありません。ただ、だらだらと日々を過ごすのではなく、たとえば学費の足しにするのにアルバイトするにしても、言われたことをただ機械的にこなすのではなく、積極的に頭を使って取り組む、すなわち「頭の体力」を鍛えることを意識した方がよいと言っているのです。自分の次のステップにそれは必ず役立ちます。
二つ目はこういう話です。進路が確定したり部活動等を引退したりすると態度が豹変するという人がよくいます。大人たちの中にも、メリットがたいしてないと思うと人に対する態度を豹変させる人がよくいます。その中には自分は「うまいことやっている」と得意になっている人もいますが、これは決して「賢く」「上手い」生き方ではなく、単に不誠実な生き方だというふうに思います。人間性が問われる問題だと思います。人間性を問われる場面は今後再三再四出てきます。不誠実さの「しっぺ返し」は必ず来ます。誠実ゆえに損をするということはもちろん往々にしてありますが、でも少なくとも「しっぺ返し」は来ません。評価する人も必ずいます。皆さんには常に誠実であってほしい。今自分は不誠実の側に傾いているなと感じる人は、ぜひ立て直してください。私は強くそれを願っています。

さあ一年の始まりです。今年がよりみなさんにとってよりよい年となりますようお祈りして、冬季休業明けの挨拶を終わります。