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令和7年度冬期休業明け集会校長挨拶

新しい年を迎えました。

歴史上まれにみる変化の時代を迎えていると言われるようになってもう何年も経ちましたが、その変化がしだいに姿を現してきたように思います。つい先日のニュースで、ヒューマノイド(人型ロボット)の進化は急速で、2050年には世界人口の10人に1人はロボットになるのではないかという報道がなされていました。2050年といえば、皆さんは40歳頃。遠い未来の話ではなく、リアルな現実の域に入ってきています。AI(人工知能)の進化はすさまじく、シンギュラリティ、すなわち人工知能が人間の知能を超える日も遠くはないと言われています。当初予想は2045年でしたが、それが早まるという説もあります。そうした流れに対して、AIを活用するにあたってのポリシーやその背景にあるべき新時代の「思想」はいまだ確立されていません。AIは極めて有益なツールで、これによって解決されることは現在でもたくさんあり、今後ますます期待できると思います。その一方で大きな不安もあります。私が特に不安を覚えるのは、AIを活用し過ぎることで、人間が物を考えなくなる、すなわち思考停止に陥るのではないか、AIを介した、あるいはAI自身が生み出した情報に支配されてしまうのではないか、ということです。人間は思考し、感性を研ぎ澄ませ、時を重ねて、「文化」というものを作り上げてきました。「文化」の中には効率性とは無縁で、計測不能なものがたくさんあります。しかしそれが「心の豊かさ」というものを醸成してきました。その「心の豊かさ」がしだいに欠けていくのではないかという恐怖を感じているのです。

変化といえばもうひとつあります。歴史は振り子のようなもので、どちらか一方に振れると、その反動で必ず大きく逆方向に振れます。国内外の政治や社会の情勢に目を向けてみると、世界史的にも日本史的にも歴史の大きな転換点を目撃しているように、振り子の戻りを見ているように感じます。

皆さんはすでに成人を迎えたり、あとわずかで成人を迎えるという年齢です。自分事として社会の変化を直視し、吞み込まれない自分というものを形作っていただけたらと思います。

さて、ちょうど一年前、昨年の冬季休業明けの集会では、おみくじの話をさせてもらいました。おみくじは予言ではなくて、いい一年を送るために鳴らされる警鐘、あるいはアドバイスのようなもので、悪いくじを引いたからといってがっかりすることはないのだ、などと話しました。人様にはそんなことを言っているくせに、人間のできていない自分は結果をとても気にしてしまいます。去年は「末吉」だったので、今年こそはと気合を入れておみくじを引きました。結果は2年続けて「末吉」。 私は何となく不貞腐れて帰ってきました。だから今年はこのスローガンでいこうと考えました。

それは「日々是好日」という言葉です。もともとは禅の言葉で、良いことも悪いことも、目の前に起こる出来事をどう捉えるかは自分次第、どんな日も自分にとってかけがえのない日であり、今を大切に生きることで毎日が「好日」になるという意味です。この境地に至るのはなかなか難しいでしょうが、少し頑張ってみようと思うわけです。年頭にみなさんは何を考えたでしょうか。今年はこういう年にしたいという何らかの思いを持って1年を歩み出していただきたいと思います。今年がみなさんにとって良い1年となりますように。